ジョン・ウィック:パラベラム レビュー考察 チャプター4に向けて復習解説

今回は映画「ジョン・ウィック:パラベラム」です。
復讐に燃えた伝説の殺し屋ジョンウィックが本作では追われる側となるシリーズの転換期となる一作
ジョンウィック3のレビュー見どころ、ジョンウィックシリーズがなぜ面白いのかを考察していきたいと思います。
また、新作「ジョン・ウィック:チャプター4(John Wick: Chapter 4 )」に向けて復習も兼ねて登場人物や背景、主席連合とはなど解説していきます。

ジョン・ウィック:パラベラム(2019年)

2019年製作/130分/R15+/アメリカ
原題:John Wick: Chapter 3 – Parabellum
配給:ポニーキャニオン

あらすじ

一流殺し屋が集う「コンチネンタルホテル」の掟である「ホテル内で殺しはおこなってはいけない」を破ってしまったジョン。聖域から追放された彼を待っていたのは、組織による粛清の包囲網だった。刺客たちがさまざまな殺しのスキルを駆使し、賞金首となったジョンに襲いかかる。傷だらけとなったジョンは、かつて「血の契約」を交わしたソフィアに協力を求め、カサブランカへと飛ぶが……。

ジョン・ウィック パラベラム : 作品情報 – 映画.com

スタッフ・キャスト

監督:チャド・スタエルスキ
製作:ベイジル・イバニク
   エリカ・リー
製作総指揮:チャド・スタエルスキ
      デヴィッド・リーチ
      ジョビー・ハロルド
キャラクター創造:デレク・コルスタッド
原案:デレク・コルスタッド
脚本:デレク・コルスタッド
   シェイ・ハッテン
   クリス・コリンズ
   マーク・エイブラムス

出演:キアヌ・リーヴス
   ハル・ベリー
   ローレンス・フィッシュバーン
   マーク・ダカスコス
   エイジア・ケイト・ディロン
   ランス・レディック
   アンジェリカ・ヒューストン

ジョン・ウィック:パラベラム レビュー

「ジョン・ウィックシリーズ」といえばカンフーとガンアクションを組み合わせた「ガンフー」が衝撃的だった2014年の一作目の登場から最新作となる4作目が2023年3月24日アメリカでの公開を控えています。日本での公開日はまだ明らかとなっておりませんが、今回はなぜジョンウィックが面白いのかを考察しながら最新作に向けて復習など交えた作品解説をしていきたいと思います。

アップグレードされたカンフー

主演のキアヌ・リーヴスといえばやはり1999年公開のマトリックスでみせたカンフーアクションが印象深いです。CGとワイヤーアクションを多用した異次元のアクション体験は衝撃的で、バレットタイム撮影でイナバウアーのスタイルで銃弾をかわすシーンは今見ても面白いですよね。
そんなカンフーアクションはこの「マトリックス」の登場で行きつくとこまで行ってしまった感があるのですが、そのマンネリを打ち破ったのが「ジョン・ウィック」で、同じキアヌ・リーヴスだというのだから流石としか言いようがなく、アクションが心から好きなんだなとわかります。そんな彼の尊敬する俳優の一人は千葉真一で「『激突! 殺人拳』からアクションと芝居を学んだ。」とインタビューでも語るほどでした。

前置きが長くなりましたが、そんなガンフーは銃を使ったマトリックスと何が違ったのでしょうか。

明確に違う点は、「無駄な動きが無い」これに尽きるでしょう。
マトリックスも洗練されたアクションでしたが銃弾を避けたり、仮想世界での戦い方だったためあくまでファンタジーでした。
ですが「ジョンウィック」はどこまでもリアルで無駄な動きが一切なく、ここまでは他の映画でもある演出ですが、往年のカンフー映画のように一人で大人数を相手にするという点が斬新だったのだと思います。

目的遂行の為に一切迷いのないキアヌのアクションは残酷ながら爽快でもあります。
先ほど紹介したキアヌのインタビューには続きがあります。

僕は映画用のカンフーならできるけど、サニー千葉は実際に人をボコボコにできる。情熱を感じる

キアヌにとって尊敬するアクション俳優に近づくことができた作品なのは間違いなさそうです。

チャプター3で多様化するアクション

チャプター3にもなると新しいアクションを作り上げることは難しいと思いますが、そこは監督のチャド・スタエルスキデヴィッド・リーチのコンビが新しいアイディアを創造しています。
先ずはシチュエーションの多様性です。
狭い図書館でのアクション、骨董品のナイフが飾られた屋敷でのアクション、乗馬しながらのアクション、を使ったアクション、ガラスの部屋でのアクションなど様々でその場その場に応じて最も最適なアクションをしています。また、舞台はニューヨークからモロッコ砂漠まで3作目にしてスケール感も増しています。

シリーズ的に新しいことに挑戦しながら過去作品へのオマージュを忘れていない点も興味深いです。

例えば、冒頭の図書館での敵は身長2メートル越えの暗殺者で演じたのはNBA選手のボバン・マリヤノヴィッチで身長は221cmです。186cmのキアヌが小さく見えるほどでしたが、これはブルースリー主演の「死亡遊戯」のオマージュでしょう。ハキムのという長身の男が敵として登場しますが、ハキムを演じるカリーム・アブドゥル=ジャバーは身長218cmと2メートル越えでNBAレイカーズの選手でもありました。
また、ホテルコンチネンタルにある敵の思惑を探るために作られたガラスの部屋は「燃えよドラゴン」でかぎ爪を装備したハンと死闘を繰り広げた鏡の部屋のようです。
「燃えよドラゴン」の鏡の部屋はあまり意図が分からず悪趣味な部屋という印象だけでしたが、「ジョン・ウィック3」のガラスの部屋はしっかりとした意図があり、「燃えよドラゴン」の鏡の部屋の新解釈まで行ってしまう懐の深い映画でした。

総評

1作目から大きく世界観を広げた3作目となる本作は、独創性に富んだキャラクターたちと世界観が漫画チックでありながら合理的でリアルなアクションが、作品に真実味を与えており現実離れしたファンタジーに終わっていないところがとても素晴らしい。

往年のアクション映画に対するオマージュも忘れずファンサービスにも抜かりがない点も評価したい。
監督や主演スタッフのこだわりを感じれる点もアクション映画ファンを十分に楽しませる。

妻の形見と言える犬を殺され愛車を奪われたという復習の理由が無くなってしまったジョンに対して感情移入することが難しくなったが、今後多くの殺人を犯したジョンがどのような最後を迎えるのかとても興味深くその前振りである本作はとても重要な作品といえる。
また、脚本・キャラクター原案を務めたデレク・コルスタッドは本作で降板しており新たな登場人物や世界観がどう変化するのかも注目していきたい。

ジョン・ウィック:パラベラム 解説考察

ここからはジョン・ウィック:パラベラムそして最新作ジョン・ウィック:チャプター4を楽しむための作品解説をしていきたいと思います。

ジョン・ウィックにとって愛犬とは

ジョンにとって犬はとても重要な相棒であり絆であります。
ジョンの初めての愛犬は病死した妻がジョンに贈ったビーグル犬で我が子、あるいは妻の分身のように可愛がっていましたがロシアンマフィアによって惨殺されてしまいます。このことをきっかけにジョンは復讐の鬼になります。
そしてチャプター3でジョンが連れているアメリカン・ピット・ブル・テリアは2代目となる愛犬で、保健所から連れ帰りました。
ジョンにとって愛犬は唯一の家族であり最も信頼できるパートナーと言えます。

忠誠の象徴

本作ではジョンの犬のほかにソフィアが飼う犬も登場し犬という存在が象徴的に描かれています。
映画内での犬は忠誠心のシンボルで、雇い主に忠誠を誓うジョン達と重なり合う存在でした。
その忠誠を誓うものが牙を剝くという反逆の物語であることを示しています。

ソフィアの犬は死んでいない

映画中盤でベラーダがソフィアの忠誠心を試すために犬を引き渡すように言いますがソフィアがそれを拒否したためベラーダによって銃で撃たれてしまいます。自分のものにならないなら殺してしまえと撃ったはずですが、次のシーンでは2匹の犬が戦っていました。
勘違いしやすいシーンでしたが、ソフィアの犬は防弾ベストを着用しており弾はベストに被弾しただけで致命傷を負うことなく戦闘することができたのでした。
ちなみにソフィアの愛犬の犬種はベルジアン マリノアです。

バーバーヤーガとは

ジョンの別名でもあるバーバ・ヤーガとはスラヴ民話に登場する魔女で森の中に住む山姥のような存在。
一軒家に住んでいて、殺しの痕跡を残さない事からそう呼ばれていたのかもしれません。
ちなみに図書館でジョンがリクエストしたA・アファナーシェフ著の「ロシア民謡」本は「Russkye Narodniye Skazkii」であり、バーバ・ヤーガのおとぎ話が記述された著書であります。

ホテルコンチネンタル

世界中に存在する殺し屋の為のホテルで、独自の金貨によって取引がされています。
掟としてホテル内で殺しをしてはいけないというものがあり、ジョンは2作目でこの掟を破り世界中の殺し屋から追われることになります。

主席連合とは

2作目から登場した組織で、世界中の犯罪組織からなる連合組織です。主席と呼ばれる12の代表がいてジョンなどの殺し屋たちのトップと言える組織です。
この組織に歯向かうことは死を意味し強大な力を持つ組織です。
現在まで、イタリアンマフィア、チャイニーズマフィア、ロシアンマフィアの存在が明らかになっていますが、真田広之が出演する4作目では日本のヤクザも登場するかもしれません。

バワリー・キングとは

モーフィアスのローレンス・フィッシュバーンが演じるニューヨークの地下犯罪組織のキング。
殺し屋でコンチネンタルの会員だったが、現在はどこの組織にも属さずニューヨークの地下で独自の組織を築き上げている。
主席連合に借りがある者同士、4作目ではジョンと共闘すると思われる。

副題パラベラムの意味

副題にある「パラベラム(Parabellum)」は、ラテン語の「Si visacem, para bellum」に由来し、「平和を望むなら、戦争に備えよ」という意味です。また映画内にも登場した、9mmパラベラムバレットにもかかっています。ホテルコンチネンタル内での銃撃戦で重要な武器として登場しました。
また銃のパラベラムの由来もラテン語の意味から来ています。

ジョンウィック4の日本公開は2023年9月

アメリカでの公開は2023年3月24日に決定していますが日本での公開は2023年公開予定のままではっきりとした時期は公開されていません。
前作の公開タイミングから予想すると大体5か月後に日本で公開されているみたいなので、公開は7月から8月の夏休みのタイミングで上映されるかもしれません。

と予想していましたが、公式から2023年9月日本公開と発表されました。
副題はコンセクエンス(Consequence)で意味は結果や成り行きです。
ジョン・ウィックシリーズの締めくくりとなる作品なので、ジョンがどのような結末を迎えるのか楽しみですね。

ハガクレとは


出演者のツイートから「JOHN 4 WICK HAGAKURE」と映った写真が公開されていました。まだハガクレが副題になったという確定情報はありませんが、
この葉隠れという言葉の意味を知ると4作目がどのようなストーリーになるのか想像することができます。

葉隠れ
「武士道とは死ぬことと見つけたり」で知られる書物「葉隠」からなる精神論で武士たるものは主君のために死ぬことも覚悟しなければならない。という武士道を示したものです。
ただ死ぬということではなく、己の心を捨てて忠義を尽くすという意味が込められています。

このことから、ジョンの殺し屋としての生き様を問われる作品になるのではないかと思います。
東京も舞台になるそうなので、日本の精神論や舞台がどのように作品に影響を与えるのか今から楽しみですね。

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