今回の映画はダニエル・クレイグ主演の人気ミステリー映画の続編の「ナイブズ・アウト グラス・オニオン」です。
ミステリー好きも唸らせる、ミステリー作品の常識を破壊した本作の魅力は一体どこにあったのでしょうか?
この記事では本作の感想や考察、そして作品をより深く楽しむための解説も行っていきます。
この記事を読めばもう一度「ナイブズ・アウト2グラス・オニオン」が観たくなるはずです。
ナイブズ・アウト2グラス・オニオン(2022年)
2022年製作/139分/アメリカ
原題:Glass Onion: A Knives Out Mystery
配信:Netflix
あらすじ
IT企業の大富豪マイルズ・ブロンが、地中海にあるプライベートアイランドに親しい友人たちを招待し、ミステリーゲームの開催を持ちかける。ところが島で実際に殺人事件が発生。遊びだったはずのゲームは一転して恐ろしい事件となり、参加者は容疑者候補になってしまう。名探偵ブノワは友人同士のなかで交錯する思惑や、その裏に隠された真相を明らかにすべく、事件の調査に乗り出す。
ナイブズ・アウト グラス・オニオン : 作品情報 – 映画.com
スタッフ・キャスト
監督:ライアン・ジョンソン
脚本:ライアン・ジョンソン
製作:ラム・バーグマン
ライアン・ジョンソン
音楽:ネイサン・ジョンソン
撮影:スティーヴ・イェドリン
編集:ボブ・ダクセイ
出演:ダニエル・クレイグ
エドワード・ノートン
ジャネール・モネイ
キャスリン・ハーン
レスリー・オドム・Jr
ジェシカ・ヘンウィック
マデリン・クライン
ケイト・ハドソン
デイヴ・バウティスタ
ナイブズ・アウト グラス・オニオンはどこで見れる?

前作「ナイブズ・アウト」が劇場公開作品だったのに対して本作「ナイブズ・アウト グラス・オニオン」はネットフリックスオリジナル作品となっています。
現在、本作を観るにはネットフリックスへの加入が必須になっています。
まだネットフリックスに加入して方は、本作を観るためだけに加入しても損はしないのでおススメです。
【ネタバレ注意】ナイブズ・アウト グラス・オニオン 感想考察
スター・ウォーズ/最後のジェダイのライアン・ジョンソンが監督を務める人気ミステリー映画の続編である本作は、引き続き主演を007シリーズのジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグが世界一の名探偵ブノワ・ブランを演じています。
そんな本作は深読みしてしまうほど謎が解けないミステリーとなっていました。
また、独立した作品になっているため前作を見てない人でも十分に楽しめます。なので、本作を観てから前作を見ても問題ありません。
謎のパズルで心鷲掴み
映画冒頭、エドワード・ノートン演じるマイルズから友人に向けた謎の箱が贈られてきます。
この謎の箱がミステリー好きの心をグッと掴んだ演出で、冒頭かワクワクが止まりません。
からくり仕掛けで「フィボナッチ数列」や「モールス信号」「方位」などパズルを解くことでマイルズからの旅行の招待を受け取ることができるというものになっています。
この時点で鑑賞者は監督のトリックにハマっていたとは気づくわけもなく、この後のミステリーを解き明かしてやろうと前のめりに映画を鑑賞することになるのです。
テンポよくすすみ見やすいというのもあるのですが見事にこの罠にはまってしまいました。
破壊と創造
マイルズは物語内で成功の秘訣を「破壊」という事になぞらえて語ります。
新しい時代を作る者は、既存の物や常識を破壊し新しいものを創造することができる者だ
みたいなことを語るのですが、まさしくこれは既存のミステリー作品の様式美や定型を破壊するという事を宣言しています。
そして、それを語るマイルズはライアン・ジョンソン監督自身でスターウォーズエピソード8で既存の定型からの脱却を試みた自身の考えでもあると思われます。
ミステリーという文脈を超えてミステリーを作り上げた作品であるというところがこの映画の評価される所以ではないでしょうか。
見事に監督自身の考えを作品で見せつけたという意味でも面白い作品です。
真犯人は誰なのか、真の破壊者は?
元々、この旅行は犯人が殺人を行うために開催されたものではありませんでした。
ただマイルズが友人を支配下に置き続ける為だけの旅行だったのですが、その関係を破壊する人物の登場で流れが変わります。
それは、アンディ(妹ヘレン)の登場によってです。
映画でも語られる通りアンディはマイルズに殺されており、アンディが死んだことを伝える記事をGoogleアラートで知ってしまった為デュークはマイルズにパイナップルアレルギーを利用して殺害されてしまいます。
全員が共犯関係になるはずだった旅行が死んだはずのアンディ(妹ヘレン)の登場でマイルズが繋いでいた友人たちの関係が破壊されマイルズの殺人が明かされることになるのです。
映画ラスト、ガラスのオブジェを次々と破壊するヘレンは真の破壊者で歪んだ関係や過去を清算するのでした。
ナイブズ・アウト グラス・オニオン 解説
この映画は多くのミステリー好きが騙される造りになっています。
ライアン監督が映画に込めた仕掛けを解説していきます。
タイトル「グラスオニオン」の意味
タイトルのグラスオニオンはビートルズの楽曲「グラスオニオン」から来ています。
ビートルズの「グラスオニオン」はジョン・レノンによって作られた楽曲で、楽曲を深読みするファンを揶揄した内容になっています。深読みしすぎることで真っすぐな事も曲がって見えてしまうという意味があります。
エンディングテーマとして「グラスオニオン」が流れたときにその意味が分かる粋な仕掛けになっていました。
前作「ナイブズ・アウト」も由来はレディオヘッドの楽曲「knives out」でした。
もし次回作が作られるならロックのタイトルからとられると思われます。
ここから謎解きが始まりそうですが深読みしすぎるとグラスオニオンになってしまいますね。
謎の男デロルの正体
ノア・セガン演じるデロルという島に住み着く男の正体は何だったのでしょうか?
彼の正体はただの放浪者で物語には何も干渉しない人物でした。
ですが、この映画の仕組みを語る重要な人物でしきりに語られる「破壊」を表すキャラクターなのです。
密室ともいえるプライベートブランドが舞台の本作は古典的なミステリーの模範のような設定ですが、その設定を「破壊」するのがデロルという放浪者で密室ではないという事を早々に伝えています。
上で紹介したグラスオニオンの意味につながる事ですが、ミステリー好きはこのような怪しい男に注目してしまいます。
時間を使ったトリックと思わせておいて、ジョセフ・ゴードン=レヴィットの不気味な時報も何の意味もありませんでした。
深読みしすぎるがゆえに映画のラストまで真実にたどり着けないという仕組みになっているのがこの映画のミステリーとして素晴らしく新しい点です。
マイルズがスマホを持たない理由
監督のライアン・ジョンソンは以前の発言でこんなことを言っています。

という事は犯人はiPhoneを使っていない人物という事になります。
盛大なネタバレになってしまうので、マイルズはスマホを使わない人物として描かれていました。
今後現代を舞台にしたミステリー作品が作りづらくなるような暴露をしてしまうライアン監督こそ真の破壊者であり、マイルズの鏡映し的な存在と言えますね。
豪華なカメオ出演
本作には多くの人気俳優がカメオ出演しています。
皆さんはどれだけ気づけましたか?
マイルズのアシスタント役のイーサン・ホーク
マイルズの時報にジョセフ・ゴードン=レヴィット(声)
ブノアの夫フィリップ役のヒュー・グラント
演出家で本人役のスティーヴン・ソンドハイム
女優で本人役のアンジェラ・ランズベリー
元NBA選手で本人役のカリーム・アブドゥル=ジャバー
チェリストで本人役のヨーヨー・マ
一回見ただけでは絶対に気づかないですし、二回目を見たくなるいい仕掛けでした。
他にも酵素ドリンクをおっくてきたジャレット・レトやジェレミー・レナーのホットソースなど有名人イジリも面白おかしく、ジェレミー・レナーのホットソースに至ってはストーリーにとって重要なアイテムでした。
こういった小ネタを探すのも面白い作品ですね。
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