今回は「シャザム神々の怒り」です。
新DCユニバースの幕開けとなる本作は、前作を見ていない人にも楽しめる良質なアクションコメディー映画でした。
この記事ではネタバレのありで本作のレビューをしていきます。
シャザム!神々の怒り(2023年)
2023年製作/130分/G/アメリカ
原題:Shazam! Fury of the Gods
配給:ワーナー・ブラザース映画
あらすじ
古代の魔術師より6人の神のパワー(S=ソロモンの知恵、H=ヘラクレスの剛力、A=アトラスのスタミナ、Z=ゼウスの万能、A=アキレスの勇気、M=マーキュリーの神速)を授かった少年ビリーは、魔法の言葉「シャザム!(S.H.A.Z.A.M!)」と唱えると、超絶マッチョな最強ヒーローのシャザムに変身する。しかし、見た目は大人でも中身は子ども、ヒーローとしても半人前のシャザムは、大人の事情が理解できずに神々を怒らせてしまい、その結果、最強の神の娘たち「恐怖の3姉妹」がペットのドラゴンを引き連れて地球に襲来。未曽有の危機を前に、シャザムは世界のためではなく、ダメな自分を受け入れてくれた仲間のために立ち上がるが……。
シャザム! 神々の怒り : 作品情報 – 映画.com
スタッフ・キャスト
監督:デヴィッド・F・サンドバーグ
脚本:ヘンリー・ゲイデン
クリス・モーガン
原作:DCコミックス
製作:ピーター・サフラン
出演:ザッカリー・リーヴァイ
アッシャー・エンジェル
ジャック・ディラン・グレイザー
ジャイモン・フンスー
レイチェル・ゼグラー
ヘレン・ミレン
ルーシー・リュー
シャザム!神々の怒り レビュー考察
前作「シャザム」は子供が子供のまま大人になったら何をするのか?という点がとても面白く、主人公であるビリーと義弟のフレディと超能力の試行錯誤がとても好きな映画でした。
そして、本作「シャザム!神々の怒り」は前作のいい部分を引き継ぎながら更なるスケールアップに成功していると言えます。
引き継がれる家族の物語
シャザムのテーマとしてまず挙げられるのは”家族”についてです。
頻繁にビリーの口から語られる「ゼロか全員か」という言葉はビリーの成長を感じさせました。
18歳になろうとするビリーは前作に比べてヒーローである事の責任感を持ったように感じ、前作の見た目は大人なのに頭脳は子供というコミカルな部分もありつつ、よりシリアスな展開で大人も子供も楽しめるエンターテイメントとして完成しています。
血縁関係のない彼らですが、固い絆で結ばれており血のつながりよりも大切なことを教えてくれるように感じます。
前作から匂わせていたペドロがゲイをカミングアウトするなど、より多様性を強調するような設定も時代に合った作品だと思います。
アクションもパワーアップ
前作だと自分の力を徐々に使いこなせるようになっていく過程が面白かったのですが、本作はすでにパワーを使いこなせている状態から始まるので、アクションもより激しくなりスケールアップしています。
フィラデルフィアの街中に放たれたクリーチャーたちとの戦いなど、ヴィジュアルもグロテスクで良かったですね。
また、子供たちが知恵を絞って戦うという点も前作より見せ場が多く家族で戦っている感じがとても良かったですね。
フレディーやダーラなど兄弟たちにもそれぞれ見せ場があるのが良かったですね。
ダーラがクリーチャーを倒すために思いつく作戦などとてもお茶目で可愛げがあるところも本作の魅力ですね。
マーベルいじり
本作の見どころとして小ネタがたくさんあるという事。
AKIRAのオマージュやアナベル人形も登場します。
そんな中DC作品でありながらマーベル作品の引用が出てくるのですが、かなり自虐的な感じで登場します。
おそらくこれは、「そもそもこの映画はマーベルのように壮大なスケールの物を目指してませんよ」というような意思表示なのではないかと思うのです。
様々な作品が絡み合い複雑化するマーベル作品を皮肉っているのかもしれませんね。
いったん仕切り直しとなったDCユニバースが今後ジェームズ・ガンの手によってどのように展開していくのか楽しみですね。
前作を復習しなくても楽しめる
そのため前作を見てなくても本作は十分に楽しめる造りになっているので、本作から見ても大丈夫です。
映画冒頭の小児科でのシーンで自身の生い立ちを語るシャザムの姿のビリーや物語のキーとなる杖が折れた理由など非常に分かりやすくなっています。
とても新設設計なのもある程度事前知識が求められるマーベル作品と区別したかったのかもしれません。
ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカとは
ミッドクレジットシーンで登場したジャスティス・ソサエティとはスーパンマンやバットマンが属するジャスティス・リーグとは別の組織で、その登場はジャスティス・リーグより古く歴史ある組織です。
フラッシュなどが創設メンバーにあたります。
なかなか聞き馴染みのないキャラクターたちがそろうジャスティスソサエティなのですが、世界を守るヒーロー集団なのはジャスティス・リーグと変わりません。
ガル・ガドットのワンダーウーマンは見納め?
本作のシークレットキャストでガル・ガドット演じるワンダーウーマンが登場します。
カメオ的な登場ではありますが、主人公を生き返らせるなど重要な役回りでした。
そんなワンダー・ウーマンなのですが本作で見納めかもしれません。
「ワンダー・ウーマン」はDCエクステンデット・ユニバース作品で今後DCUとして仕切り直しになるため、もうしばらくはワンダーウーマンの新作を観れそうにありません。
あの美しいガル・ガレットのワンダーウーマンを観るだけでも価値のある作品だと思います。
DCEUとDCU
本作「シャザム神々の怒り」はこれまで展開してきたDC作品から新たに仕切り直しとなる作品で、これまでの作品群がDCエクステンデット・ユニバースと呼ばれていたのに対して、本作からはDCユニバースと呼称されます。
マーベルで言うところの「フェーズ」が変わったみたいな感覚でしょうか?
膨れ上がった世界観を一旦整理して、初心者にも入りやすいシリーズにしていきたいのではないかと思います。
上でも述べたようにマーベルと差別化を図るための戦略のように思えますね。
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